『歌舞伎座 芸術祭十月大歌舞伎(昼の部)』の巻

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マハーバーラタ戦記。

『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』

神々の力に翻弄された人間たちの悲劇というような作品でした。

正義と悪の対立というようなものはありつつ、単純な勧善懲悪でないところが興味深かったです。

菊之助さん演じるカルナは、神様と王女様の子どもながら、生れてすぐに川に流され捨てられるという過酷な運命を辿ります。普通の英雄譚なら、試練を乗り越え大成してめでたしめでたしめの大団円となるところですが、この物語では言われもなき試練をこれでもかと与えられ、最後は命を落とすという悲しい結末…。悲惨と言えば悲惨な話しですが、その中で、カルナ自身は自分が見出した正しさに従って行動しているので、本人は満足した死を迎えたのかもしれません。

七之助さん演じるヅルヨウダ王女の存在感は圧倒的というか際立っていました。立ち位置的には王位を狙う一番の悪なのですが、彼女からすれば正統な王の血脈は自分であるという主張は理に適っており、彼女なりの理論で邪魔者を排除するのも当然の行動です。

調停者として争いを収める立場であったカルナが、ライバル的な関係である松也さん演じる武力を旨とするアルジュラ王子とその立場、主張を変えていく過程や最後の最後で冷徹になり切れないヅルヨウダ王女の苦悩など、正義と悪の微妙なバランスの変化がとても印象深いお話しでした。

迫力のある場面も満載で、特に両花道を使ってのアルジュラ王子とカルナが戦車に乗って登場するシーンは圧巻です。
本当は兄弟なのに戦わなくてならない二人の葛藤も、元を正せば神々の気まぐれに踊らされているだけです。
正義でもなく、悪でもなく、神々が定めた運命に翻弄されながらも自ら選んだ道を歩いていく人間の悲哀を感じる物語でした。


日  時:2017年10月15日(日)11:00~
会  場:歌舞伎座
出  演:尾上菊之助、中村時蔵、中村鴈治郎、中村七之助、坂東彦三郎、坂東亀蔵、尾上松也、中村梅枝、中村萬太郎、中村種之助、中村児太郎、片岡亀蔵、市村萬次郎、市川團蔵、坂東楽善、市川左團次、尾上菊五郎

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